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ロレックスのミリタリーウォッチ本物を探しているあなたは、おそらくオークションサイトなどで見かける、数々の魅力的な時計に心を惹かれているのではないでしょうか。ロレックスの他にも有名ブランドの名前で出品され、どれも似たデザインを持つロレックスミリタリーウォッチや、歴史を感じさせるミリタリーアンティークと称されるモデルたち。中には、伝説的なロレックスミリサブを彷彿とさせるものもあり、その真贋が気になるところだと思います。
しかし、これらの時計は本当に信頼できるのでしょうか。この記事では、そうした疑問に明確な答えを提示します。市場に出回る時計の実態から、数少ない本物を見極めるための具体的な知識、そして後悔しないための入手方法まで、専門的な情報を分かりやすく解説していきます。
記事のポイント
- 市場でよく見られる時計の実態と改造手口
- 本物の官給品モデルが持つ具体的な特徴
- 品質や刻印から本物を見抜くための鑑定眼
- リスクを避けて本物を探すための現実的な方法
ロレックスのミリタリーウォッチ本物は市場にある?

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- そもそもロレックス ミリタリーウォッチとは
- ヤフオクで見かける時計の正体はリダン品?
- ムーブメントが本物でも改造品とされる理由
- 希少な官給品ミリサブという存在
- アンティーク市場での注意点
- 裏蓋の刻印やシリアルナンバーの矛盾
そもそもロレックスミリタリーウォッチとは

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ロレックスのミリタリーウォッチとは、その名の通り、軍隊からの要請を受けて製造・供給された時計を指します。一般市場向けに販売されるモデルとは異なり、軍事活動という過酷な環境下での使用を前提としているため、極めて高い堅牢性、防水性、そして何よりも正確な時刻表示が求められました。
また、任務の特性上、視認性も非常に重視されます。例えば、夜間や深海でも瞬時に時刻を読み取れるよう、文字盤のインデックスや針には強力な夜光塗料が塗布されているのが一般的です。デザインは華美な装飾を排し、実用性のみを追求した無骨で機能的なものが中心となります。
このように、ミリタリーウォッチは時計が「命を守るための道具」であった時代の証であり、その背景にある歴史やストーリー性が多くの時計愛好家を魅了しているのです。ただ、その希少性ゆえに、市場では様々な憶測や誤解が生まれているのも事実と言えるでしょう。
ヤフオクで見かける時計の正体はリダン品?

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ヤフオクなどの個人間取引が中心のオークションサイトで、「ロレックス ミリタリー」として出品されている時計の多くは、残念ながら厳密な意味での「本物」ではない可能性が高いと考えられます。これらの多くは「リダン」や「ガチャ」と呼ばれる、後から手が加えられた時計である場合がほとんどです。
「リダン」とは、文字盤(ダイヤル)を後から塗り直したり、描き変えたりしたものを指します。経年劣化した文字盤を修復する目的で行われることもありますが、悪質なケースでは、元は全く異なるデザインの時計を、希少なミリタリーモデルであるかのように見せかけるために行われます。
一方で「ガチャ」とは、様々な時計の部品を寄せ集めて一つの個体を作り上げた、いわゆる「フランケンウォッチ」のことです。例えば、ケースはAの時計、ムーブメントはBの時計、文字盤は非純正の社外品、といった具合に組み上げられています。見た目はミリタリーウォッチ風に仕上がっていても、その出自はバラバラであり、資産価値や時計としての整合性は皆無に等しいと言えます。
ムーブメントが本物でも改造品とされる理由

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オークションの出品物で巧妙なのは、ムーブメント(時計の心臓部である機械)自体は、本物のロレックス製を使用しているケースが少なくない点です。これにより、「ムーブメントは本物」という点を強調し、時計全体が正規品であるかのような誤解を誘います。
しかし、これは巧妙な手口の一つに過ぎません。多くの場合、比較的安価で手に入る、人気の低いアンティークモデル(例えば、旧いエアキングやオイスターパーペチュアルなど)からムーブメントだけを取り出します。そして、そのムーブメントを器にして、別に用意したミリタリー風のリダン文字盤や社外品のケース、針などを組み合わせて「ミリタリーウォッチ」を製造しているのです。
時計の価値は、ムーブメントだけでなく、文字盤、ケース、針、ブレスレットといった全ての部品が、製造された当時のオリジナルの状態を保っていることで決まります。たとえムーブメントが本物であっても、他の主要な部品が寄せ集めや改造品であれば、それはもはや「偽物」あるいは「改造品」であり、正規のロレックス ミリタリーウォッチとは全く異なるものです。
希少な官給品ミリサブという存在

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では、本物のロレックス製ミリタリーウォッチは存在しないのでしょうか。答えは「いいえ」です。その代表格として、時計コレクターの間で伝説的な存在となっているのが「ミリサブ」こと、ミリタリー・サブマリーナーです。
これは、1970年代に英国国防省(MOD)がロレックスに特別に発注した、海軍の特殊潜水部隊向けのサブマリーナーを指します。市販のサブマリーナーをベースに、軍の要求に応じた特殊な仕様変更が加えられているのが特徴です。
ミリサブの主な特徴
- 固定式ラグバー: 一般的なバネ棒ではなく、溶接された固定式のバーが採用され、頑丈なナイロンストラップを装着します。これにより、任務中に時計が腕から脱落するのを防ぎます。
- 剣型の針: 時針が一般的なベンツ針ではなく、より太く視認性の高い剣型(ソードハンド)になっています。
- ダイヤルのTマーク: 文字盤の夜光塗料に、当時使用されていた放射性物質であるトリチウムが含まれていることを示す「T」のマークが、円で囲まれてプリントされています。
- 60分目盛りのベゼル: ベゼルには、潜水時間をより精密に計測できるよう、1分刻みの目盛りが全周にわたって刻まれています。
これらの特徴を持つミリサブは、ごく少数しか製造されなかったため、現存する個体は極めて希少です。そのため、サザビーズやクリスティーズといった世界的なオークションハウスで、数千万円という極めて高額で取引されるのが実情です。
アンティーク市場での注意点

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ロレックスのミリタリーウォッチに限らず、アンティークウォッチ全般の市場で時計を探す際には、いくつかの重要な注意点があります。特に、40年、50年以上前に製造された時計は、その歴史の中でどのような扱いを受けてきたかによって状態が大きく異なるからです。
第一に、部品のオリジナル性が挙げられます。長年の使用や修理の過程で、文字盤や針、リューズ、風防などが、製造当時とは異なる部品(サービスパーツや社外品)に交換されていることは珍しくありません。全ての部品がオリジナルである「フルオリジナル」の個体は評価が高くなりますが、そうでなくても、どのような部品が交換されているかを正確に把握することが大切です。
第二に、メンテナンスの履歴です。機械式時計は定期的なオーバーホール(分解掃除)が不可欠であり、信頼できる技術者によって適切に手入れされてきたかどうかが、時計の寿命や精度を左右します。購入を検討する際は、メンテナンスの記録が残っているかを確認するのが理想的です。
これらの情報を個人が出品するオークションで見極めるのは極めて困難です。そのため、アンティークウォッチを求める際は、信頼と実績のある専門店に相談することが、失敗を避けるための最も賢明な方法と考えられます。
裏蓋の刻印やシリアルナンバーの矛盾

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本物の官給品ミリタリーウォッチには、その証として裏蓋に特殊な刻印が施されています。例えば、英国軍の官給品であることを示すブロードアロー(↑の形をしたマーク)や、管理番号、支給年などが刻まれます。
一方で、オークションなどで見られる改造品の多くは、この裏蓋の刻印も巧妙に偽装しています。しかし、その刻印はフォントが不自然であったり、深さが均一でなかったりと、よく見ると稚拙なものが少なくありません。
さらに決定的な矛盾点として、シリアルナンバーの問題が挙げられます。インプットした情報にもあったように、過去には特定のシリアルナンバー(例:45XXXXX、1977年製とされる番号)を持つ個体が、不自然なほど大量に出品されていた時期がありました。本来、希少であるはずのミリタリーウォッチが、特定の製造年のものばかり大量に見つかるというのは、論理的に考えて不自然です。
これは、その年代の比較的手に入りやすいモデルをベースに、改造品が大量生産されたことを示唆しています。時計のケースに刻印されたシリアルナンバーと、文字盤のデザインや裏蓋の軍用刻印が示す年代や仕様に矛盾がないかを確認することは、真贋を見極める上で非常に重要な手がかりとなります。
ロレックスのミリタリーウォッチ本物の見極め方

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- 純正品と非純正品のクオリティの違い
- シリアルナンバーでの真贋確認の重要性
- 信頼できる入手経路は専門店やオークション
- ミリタリーアンティークの価値
- 総括:ロレックスのミリタリーウォッチ本物の見分け方と真実
純正品と非純正品のクオリティの違い

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本物のロレックスと、後から作られたリダン品や改造品とでは、細部に目を凝らすと品質に明らかな違いが見られます。時計を細部まで観察する「鑑定眼」を養うことが、偽物を見抜くための第一歩となります。
最も分かりやすいのが文字盤の品質です。ロレックスの純正文字盤は、ブランドロゴやインデックスのプリントが極めてシャープで、エッジが立っています。インクの乗りも均一で、ルーペで見ても滲みや歪みはほとんど見られません。これに対してリダン文字盤は、ロゴが潰れていたり、文字の輪郭がぼやけていたり、インクにムラがあったりする場合が多いです。
夜光塗料の塗り方も重要なポイントです。メーカーによる塗布は丁寧で均一ですが、後から塗られたものは、インデックスの枠からはみ出していたり、厚みが不均一だったりと、作りが雑な傾向にあります。ベゼルの数字や目盛りの刻印も同様で、純正品は深くシャープであるのに対し、非純正品は浅く甘い印象を受けます。こうした細部の「神は細部に宿る」とも言えるクオリティの差が、本物と偽物を分ける決定的な違いなのです。
シリアルナンバーでの真贋確認の重要性

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前述の通り、シリアルナンバーは時計の真贋を判断する上で、客観的かつ極めて信頼性の高い情報源です。ロレックスの時計には、個体を識別するためのシリアルナンバーと、モデルを特定するためのリファレンスナンバー(型番)がケースに刻印されています。
通常、ブレスレットを外したラグの間に刻まれており、この番号を調べることで、その時計が何年のモデルで、どのような仕様であったかを特定できます。もし、文字盤のデザインが「1950年代の軍用モデル」を模しているにもかかわらず、シリアルナンバーが「1980年代製」を示していれば、それは明らかに後から改造された時計であると判断できます。
この確認作業は、真贋判定の基本中の基本です。偽物や改造品の多くは、このシリアルナンバーと時計の仕様との間に矛盾を抱えています。購入前には必ずシリアルナンバーを確認し、可能であれば専門店のデータベースなどで照合することが、誤った投資を防ぐための鍵となります。
信頼できる入手経路は専門店やオークション

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では、本物のロレックス ミリタリーウォッチを手に入れるには、どこを探せばよいのでしょうか。結論から言えば、個人が出品するネットオークションは避け、信頼できるルートに絞るべきです。
最も確実なのは、アンティークウォッチを専門に扱う、長年の実績と高い専門知識を持つ販売店です。こうした店舗では、経験豊富な専門家が時計を厳しく鑑定しており、販売する商品に対して真贋保証を付けているのが一般的です。商品の来歴や状態について詳細な説明を受けることができ、安心して購入を検討できます。
もう一つのルートは、サザビーズやクリスティーズ、アンティコルムといった世界的に有名なオークションハウスです。ここに出品される時計は、各社の時計部門のスペシャリストによって厳格な鑑定が行われており、来歴(プロブナンス)が確かなものがほとんどです。特にミリサブのような極めて希少なモデルは、こうした場に登場することが多いです。
いずれにしても、本物を求めるのであれば、それ相応の価格と、信頼できる販売チャネルを選ぶことが不可欠です。安価で魅力的に見える話には、必ず裏があると考えた方が賢明でしょう。
ミリタリーアンティークの価値

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本物のロレックスミリタリーアンティーク、特にミリサブのようなモデルの価値は、近年著しく高騰しています。その価値を形成しているのは、単なる時計としての性能だけではありません。
最大の要因は、その圧倒的な「希少性」です。もともとごく少数しか製造されなかった上に、過酷な環境で使用されたため、良好な状態で現存する個体は極めて限られています。この希少性が、コレクターたちの所有欲を強く刺激します。
次に「歴史的背景」が挙げられます。特定の軍事作戦で使用された、歴史的な部隊に支給されたといったストーリーは、時計に唯一無二の付加価値を与えます。誰が、いつ、どこで使ったのかという来歴(プロブナンス)がはっきりしている個体は、特に高く評価されます。
以下の表は、本物の官給品と、オークションサイトで散見される改造品との違いをまとめたものです。その価値が、全く異なる次元にあることが理解できるでしょう
比較項目 | 本物の官給品(例:ミリサブ) | オークションの改造品 |
---|---|---|
出自 | 軍からの正式な発注品 | 既存モデルの改造・部品寄せ集め |
希少性 | 極めて高い | 低い(意図的に製造される) |
資産価値 | 非常に高い(数千万円以上) | ほとんどない(材料費程度) |
保証 | 専門店やオークションハウスによる | なし(自己責任) |
入手経路 | 有名オークションハウス、トップディーラー | 個人間取引サイトが中心 |
このように、両者は似て非なるものです。ロレックス ミリタリー アンティークの真の価値は、その時計が持つ本物の歴史と希少性にこそ宿っているのです。
総括:ロレックスのミリタリーウォッチ本物の見分け方と真実
この記事では、ロレックスのミリタリーウォッチに関する真実と、本物を見極めるための方法について詳しく解説しました。最後に、後悔しないために押さえておくべき重要なポイントをまとめます。
- オークションの多くはリダンや改造品と疑う
- ムーブメントが本物でも全体では偽物の場合がある
- 本物の官給品はミリサブなどごく少数しか存在しない
- 本物のミリサブは数千万円以上の価値を持つ
- 文字盤のロゴやインデックスの印刷品質に注目する
- 夜光塗料の塗り方の丁寧さを確認する
- 裏蓋の軍用刻印のフォントや彫りの深さを観察する
- シリアルナンバーと製造年代の整合性を必ず確認する
- 時計の仕様とシリアル情報に矛盾があれば改造品
- 安価な個体には手を出さない
- 個人の出品者からの購入はリスクが非常に高い
- 入手経路は信頼できるアンティーク専門店に絞る
- 世界的なオークションハウスも確実なルートの一つ
- 部品のオリジナル性とメンテナンス履歴を重視する
- 正しい知識を身につけ安易な情報に惑わされない